環境改善治療

■お口の環境改善を行い、リスクを低下させることこそが本来の歯科医療であり、健康な歯は健康なまま、また治療した歯は長期間、良い状態で維持させることに繋がります。

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初診時の下の歯の状態です。右下奥歯のむし歯の治療を希望され、来院されました。右下奥歯は詰め物が外れてむし歯になっています。

お口の中全体に目を向けて見ると、舌の粘膜は真っ赤で、下の前歯の内側には歯石•歯垢が多く付着しています。顕微鏡で観察するとお口の中には多量の細菌が生息していました。このお口の状態でむし歯の治療をするべきではありません。仮に治療を行っても数年後、むし歯に必ず再感染します。
まずやるべきことは歯を削ってつめ物を入れる治療ではなく、むし歯•歯周病のリスクを下げるお口の環境改善治療です。右下の歯には仮の詰め物を行い、咬むことに支障がないようにしました。その後、歯科衛生士が唾液検査、歯周病の検査を行いむし歯•歯周病のリスク評価を行い、この患者さんの場合は約3ヶ月かけて歯垢•歯石の除去、ブラッシングの方法、使用するブラシの改善等を指導しました。

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初診時、真っ赤だった舌の粘膜は正常な色に回復しました。下の前歯の内側に歯石は除去され、顕微鏡で観察しても細菌の数は少なくなりました。初診時に比べ、むし歯•歯周病のリスクは大幅に低下しています。この状態になってようやく右下の歯を削ってつめ物を入れる治療をする時期なのです。このようにお口の環境改善を行い、リスクを低下させることこそが本来の治療であり、治療した歯を長期間に渡り維持させることに繋がります。

【初診から3年6ヶ月後】

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治療終了後、6ヶ月毎にメインテナンスを行っています。良好なお口の状態が維持できており、全身の健康に貢献しています。